勉強だけを教えるダメな講師にはなりたくない。
予備校講師になって15年経ちましたが、当初から私がもっとも大切にしている信条があります。それは、「生徒の主体性を支える」ということです。
ここでいう主体性とは、自分で決めたことに責任を持ち、自分から進んで勉強に取り組み、最後まで走り抜くこと。主体性が確立している生徒は、経験上、適切な指導のもとで諦めずに努力を重ねれば、かならず医学部に合格できる。合格後も、医学部のハードな勉強にも怯むことがない。
医進予備校にくる生徒のほとんどは、いろいろなことを犠牲にすることを知りながら、覚悟を持って自ら厳しい医学部受験の道を選んでいます。実は、この時点で学力が爆発的に伸びるポテンシャルを秘めています。
人間は内発的動機が明確な場合、つまり自分で選んだことや目指すものがはっきりしている場合に、自発的に物事に取り組むことができます。集中力が増し、記憶力が上がり、ポジティブで打たれ強く、エネルギッシュでやる気に溢れ、計画的に努力することができます。なので、4月に受験勉強が始まったとき、生徒はやる気に満ち、目を輝かせてガンガン勉強するものです。この状態が維持できれば、学力は伸び続けます。
しかし、一年間勉強していると、思うように勉強が進まなかったり、模試で合格判定が悪かったりすることは当然起こりえます。この時、生徒の主体性は揺らぎます。自分の選んだ道は間違っていたのではないか、自分には医学部に行くだけの能力がないのではないかと悩み、勉強のペースが落ちてしまう。特に、何事も望んだように順調に物事が進まないとやる気を失うような、いわゆる完璧主義の生徒ほど落とし穴に陥りがちです。
私の仕事は、もちろん学習を手伝うことが本分ですが、同じくらい、生徒の主体性が揺らがないようにガイドし、メンタル面をサポートすることが大切だと思っています。主体性がブレなければ、つらい受験勉強を耐え、時には楽しむことができるからです。
この点で最適なのが、個別指導です。つねに生徒と対話を交えながら、授業を進めますので、生徒の様子を観察しやすく、学習の悩みを聞き、アドバイスを送ることができます。何が問題でどう解決すべきかを一緒に検討する。適切な過程で勉強できていること、ゴールまでの道のりを着実に進んでいることを確認してもらう。連帯感、自己肯定感や安心感を与えて、主体性を支えるようにいつも心がけています。
一方で、教える側としては、生徒と一体感、人間どうしのつながりをもてることが、最高のご褒美です。
医学部受験という困難な、しかし崇高な道を選んだ生徒に寄り添って一緒に歩き、合格のよろこびを共有したい。私が予備校講師を続ける理由のひとつです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
生徒の主体性を支える
